ギターを上達するには、自分で自分の演奏を客観的に評価して、練習にフィードバックしていくことが必要です。しかし、自分へのダメ出しは予想以上に難しく、時には甘くなってしまったり、時には抽象的で本質を掴めていないこともあります。今回のブログは、実際にあったダメ出しのパターンをたくさん挙げて分類し、ダメ出しのボキャブラリーを増やしてみようという試みです。
はじめに
ギターを弾いていると、聴いてくれた人からコメントをもらえことがあります。
客観的な立場の意見なので参考になることもある反面、すでに検討済みのことであったり、的外れな指摘もあるので、すべてを鵜呑みにする訳にはいきません。
ギターの先生や自分より音楽について造詣の深い人からのアドバイスなら精度は高いですが、常日頃からもらえる訳ではありません。
結局は、自分で自分を評価するしかないということですね・・。
そこで様々なダメ出しのパターンを見ていきたいのですが、ソースとして私がつけている練習日記を利用したいと思います。
練習日記には、普段の練習やライブ等の本番について、内容や良かった点を記載していますが、同時に「課題」も書き残しています。
この「課題」は、まさに自分が自分へダメ出ししたものです!
今回は3年分の練習日記を見直して、書かれている課題を抽出して分類し、短評をそえていきます。
まだまだ自分を客観的に評価できていないかもしれませんが、情報が蓄積されていることには、少しは価値があると思います。
ご自身の状況に当てはまるものを探したり、無いものを追加する等の発展をさせてみたりしてご利用下さい。
弾けてない系
- 一発目に弾けてない(指が温まってないと弾けない)
- 練習部屋以外だと(環境が変わると)弾けてない
- 反復練習で曲の構成への意識が希薄になって間違えている
- 指が動いていない(ギターを持たなくてもできる準備運動を考ること)
- 引っ掛かる確率が高い部分の運指を改良すること
- 取り組んでいる曲が多くて十分に練習できてない
- 特定のテクニック(レガートやハーモニクスなど)が弾けていない
- 録音して聴き返すと弾けてない(もっと精度が必要)
- アドリブパートにまとまりがない(戦略を立てないといけない)
- 急にリクエストされた曲が弾けてない(柔軟に対応するスキルが必要)
- 少しテンポが上がると弾けない(ライブで走ると弾けてない)
弾けてない系は自分でも気付きやすいため、ダメ出しがしやすいですね。
内容的には、わずかな工夫で解決できるものもあれば、習得に時間が掛かるものまで様々です。
しかし、一歩一歩進んで行けば大丈夫なものがほとんどなので、精神衛生上も良いダメ出し(?)と言えそうです。
弾けているが歌えていない系
- 全体的に抑揚がない
- アレンジの通りに弾くだけになっている
- 録音してチェックすると感情が入っていない
- 音が早めに切れてしまっている
- 音の切れ目に意思がない
- アクセントの付け方が下手
- 曲の主題が伝わってこない
こちらは、弾けてない系より少し進んだ状態でのダメ出しです。
形にはなっているものの、まだいくつか足りない部分が残っている状態ですね。
ここまでくるとあと一息な感じもしますが、ここからが長いのが音楽の難しい所だったりします・・。
アレンジや作曲が良くない系
- アレンジ(または作曲)の方針を決めること
- 慣れないアイデアをはめ込んで全体が破綻している
- 時間があるので妥協しないこと
- 時間がないので適宜まとめること
- 冗長な部分を削ること
- 聴かせ所にインパクトがない、盛り上がってない
- 難しすぎて練習しても弾けないアレンジになっている
- アイデアのメモを聴き返して整理すること
- アレンジに厚みがない
- 次に取り組む曲を候補から絞れていない
ギターアレンジや作曲は、こだわりだしたら時間がどんどん過ぎていきます。
また、クオリティーが低いからといって、弾けてない系の時のように解決策がすぐに見つかる訳ではありません。
ダメ出しも、抽象的なものが多いですね・・。
作曲家やアレンジャーの人って本当に凄いと思います。
こういう考え方をしよう系
- うまくいった後に調子に乗ってはいけない
- うまく弾こうとするのではない、
- ミスしたことよりも気持ちがこめられていないことを悔やむべき
- お客さんの反応を気にしない
- 取り組む内容がブレているので意思を統一しないといけない
- セットリストは詰め込み過ぎないこと
- 終わって拍手が聞こえるまでが演奏
- 出し惜しみせずライブや動画で曲を披露すること
このように、軽い思想的なダメ出しもあります。
直接演奏に関係しませんが、いざという時に一番効いてくる所だったりしますね・・。
感じたことはすぐにメモしておき、普段から意識することで自然にできるようになれれば、克服したと言えると思います。
力んでいる系
- 左手に力が入っている
- 演奏フォームが崩れている
- 勢いでごまかしている
- 右手を弦から離しすぎている
- 息継ぎができていない
今回はあまり数を挙げられませんでしたが、一口に力んでいると言っても、様々な細かい症状が考えられます。
力みは普段の練習ではなく、ライブやレコーディングなどの本番で発生することがほとんどなので、対策と実践を繰り返して修正していく必要があるかと思います。
ギターのセッティングや演奏時の衣装などにも留意して、なるべく力まない状態を作ることも重要です。
リズムが悪い系
- 走っている
- 途中でヨレている
- メロディー弾きのリズムが悪い(伴奏のように一定で刻まないため)
- ハンマリングやプリング、スライド(右手でなく左手でリズムが決まるテクニック)で悪い
- (クリックなどに)合わせるだけになっている
- 歯切れが悪い(切る部分に演奏者の意思が入ってない)
- スローテンポから練習する必要がある
音程は少々間違えても大丈夫ですが、リズムが悪いと音楽に詳しくない人にもすぐに気付かれてしまいます。
リズムも他のダメ出しと同様に、自分の演奏を録音してチェックするのが一番の近道です。
これは、録音しているときは演奏者、録音を聴いている時はリスナーという風に、時間をずらすことで立場を変える方法だとも言えそうです。
音作り系
- (リバーブなどの)エフェクトが掛かり過ぎている
- (新しく入手したギターの)音作りをすること
- (新しく入手したギターの)エフェクトの乗りを確認すること
- ライブ会場の音響に対応できていない(自宅のセッティングから微調整が必要)
- 音割れに対処できていない
- スイッチの入れ忘れやノブの調整忘れがある
- 歪んだ音の作り方が不得手
現在はエレキギターはもちろん、アコギもプリアンプやエフェクトを使ってかなり幅の広い音作りが可能です。
デフォルトのセッティングでいいやと思っていても、少しツマミを変えただけで劇的に音が良くなったりします。
1曲どころか、もっと細かい単位での変更も考えられますね。。
「機材の扱いまですべて含んで楽器と考える」という格言を胸に刻みつつ、ダメ出しする必要がありそうです。
練習全般に関すること
- 弾く前にしっかり原曲をしっかり確認すること
- スケールの度数を整理すること
- バッキングトラックに合わせて弾いてみること
- (急なリクエストやアンコールに備えて)常設のレパートリーを用意しておくこと
- たまにはメインギター以外も弾くこと
- もっと練習時間を確保しないとプラスαのことができない
- 日頃から譜面を読むこと
- 目的を持たずに練習を始めてはいけない
- 目的を持たずにギターで遊ぶ時間を作ること
- エフェクター等の機材の操作も含めて練習しなければならない
- 本番のセットリストを通して練習すること
本番よりも練習している時間の方が長いため、練習に関するダメ出しはこまめにしておきたい所です。
練習していないことはずっとできないままなので、何をどのような優先順位で行うかも、しっかり確認する必要がありますね。
体調に関すること
- 疲れている/イライラしているので息抜きをすること
- (ギター以外の作業などで)手に疲労感があるので休ませること
- 体調が良く無いが本番はやりきること
- コロナ陽性だったのでライブやレッスンをキャンセルすること
- 昨日食べたスパイスカレーでお腹を壊したので以後注意すること
- 左肩が痛いので必要以上に立って弾かないこと
- 巣ごもりで太ってきたので運動すること
- ライブに遅刻する等の悪い夢を見るのでリフレッシュすること
最後はギターと関係ない自分自身のことになってますが・・何事も体が資本ですよね!
私の場合は、特に腰が痛い時にギターを弾くのが苦痛なので、予防できるように軽い運動をしたりしています。
体調に関することは失って初めて気付くことが多いので、ギターと関係なくてもダメ出しして、しっかり改善していくことが大切だと思います。
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