アコギのサウンドホールを塞ぐように装着するサウンドホールカバー。サウンドホールキャップやフィードバックエリミネーターと表記されることもあります。ひょんなことから使い出したのですが、世間一般で言われている以外にも、様々な効果があることが分かりました。
はじめに
今回、サウンドホールカバーを付けたのはMatonのエレアコです。
一般的なエレアコに搭載されているピエゾピックアップの他に、ボディ内部にコンデンサーマイクが仕込まれており、それら2つの出力を任意のバランスでブレンドすることができます。
何が言いたいのかというと、ピエゾだけのエレアコやピックアップなしのアコギ、はたまた3way以上のピックアップが搭載されたギターとは、サウンドホールカバーの効果の感じ方が異なるかもしれないということです。
ただ、基本的な部分はあまり変わらないと思いますし、ピックアップシステムの違いを考慮すれば、何となく効果の補正はできると思います。
私がサウンドホールカバーを使おうと思ったのは、一般的なサウンドホールカバーの効果(フィードバックが起こらないようにする、生音の音量を小さくする)が欲しかったからではありませんでした。
サウンドホールカバーを付けることで、例えばアコギ感が薄まるような、サウンドの変化があるかに興味があったんです。
もし劇的に音色が変わるようなことがあれば、状況によってサウンドホールカバーの有無を切り替えるような選択肢も増えますし、取り合えず試してみたという感じです。
一般的なアコギのサウンドホール径は100mmのようで、最初はこの寸法のものを買おうとしていたんですが、実際に手持ちのギターのサウンドホールを計ると95mmしかなく、あやうく無駄な買い物をする所でした・・。
100mm以外のタイプはあまり出回っていないようでしたが、何とか95mmのものを見つけて買うことができました。
世の中には様々なサイズのアコギがあるので、きっちりとサウンドホールを採寸してからの購入を強くお勧めします!
前置きが長くなりましたが、ここからは実際にサウンドホールカバーを使ってみて感じた効果を、思い付く限り書いていきたいと思います。
フィードバックの除去
別名「フィードバックエリミネーター」の通り、フィードバックを取り除く効果がまず挙げられます。
と言っても、フィードバックが起こるような大きな会場で、サウンドホールカバーを付けたり外したりしたことがないので、正直どれぐらい効果的なのかは分かりません・・。
しかし、フィードバック対策のために、フルアコやセミアコのf字孔を塞いでいるギターをたまに見るので(有名なギタリストも何人かやってたんですが、誰か忘れちゃいました)、アコギでもサウンドホールを塞いでしまうことでフィードバックを抑制できるのは間違いありません。
実感としては、小さめのライブハウスでエレアコを使う時、コンデンサーマイクやコンタクトピックアップなどの(ピエゾでない音の)ブレンド量を多くすると、ハウり出すくらいのイメージがあります。
まだ試したことがありませんが、サウンドホールカバーはおそらくそういった状況でのフィードバックを回避できると思われます。
大きな音かつ生音感を強めに出したい場合は、サウンドホールカバーは必須になってくるかもしれません。
音を小さくする
フィードバック抑制の次に謳われるものとして、生音の音量を小さくする効果があります。
実際にサウンドホールカバーを付けた所、確かに音量は小さくなりました。
しかし劇的に小さくなったというよりは、箱鳴りがなくなって賑やかでなくなったような印象です。
この音色の変化は、マイクで録音する時の選択肢の1つになるかもしれません。
逆に、騒音のクレームがこないようにサウンドホールカバーでギターの音量を小さくするというような目的は、完全には達成できなさそうです。
住宅事情を考慮しつつギターを練習したい・・という場合は、サイレントギター等をヘッドフォンでモニターする方が確実だと思われます。
見た目の変化
実際に自分のギターに付けてみて初めて感じましたが、サウンドホールカバーがあるとギターの見た目の印象がガラッと変わります。
今回はただの黒いデザインのものを付けただけなのですが、いわゆるアコギ感が薄まっている感じがしないでしょうか?
この辺りは好みが分かれるかもしれませんが、個人的には装着時の見た目は気に入ってます。
今は様々なデザインのサウンドホールカバーが販売されているので、見た目を重視して選ぶのもありだと思います。
比較的簡単に取り外しできるアクセサリーなので、状況や気分によって変えることもできますね。
器用な方であれば、自作でオリジナルのサウンドホールカバーを制作しても良さそうです。
打撃音を拾いやすい
意外な効果として、ボディを叩いた時のパーカッシブな音を拾いやすくなったいうのがあります。
手持ちのギターにはコンデンサーマイクも付いているのですが、ラインで出力した場合にどうしても打撃音が小さく聴こえることが悩みの1つでした。
サウンドホールカバーを付けると、打撃音の箱鳴り感がなくなって音が通りやすくなったようで、スッキリとした前に出てくる音で出力することができるようになりました。
ギターを叩くプレイが多い方であれば、こういった観点からもサウンドホールカバーを1度試してみる価値はあると思います。
ホコリの防止
サウンドホールカバーを付けると、当然ですがボディの中にホコリが落ちなくなります。
普段から丁寧にギターをメンテナンスしている人でも、ボディの中の掃除となるとさすがにおっくうになると思うので、これは副産物的なうれしい効果ではないでしょうか。
ホコリが落ちないということはピックも落ちないということなので、サウンドホールの中にピックを落とすことが多い人にも朗報です。
ライン出力音は変化しない
前述の通り、ギターの打撃音のライン出力はスッキリしたものに変化しましたが、普通に弦をピッキングした時のライン出力はほとんど変化が感じられませんでした。
基本的な音色を変化させずにフィードバック除去などの効果があるということなので、これは重要なポイントだと思います。
一方で生音の音色は変化するので、生音も加味してトータルで音を作るのであれば、サウンドホールカバーを付けない方が良い場合もありそうです。
デメリット
最後に、サウンドホールカバーを付けた時に感じたデメリットもまとめておきます。
まず、トラスロッドの調整が面倒になります。
アコギはサウンドホール側からトラスロッドを調整するタイプが多いので、当然ですがサウンドホールカバーを外さないと作業ができません。
頻繁に実施することではありませんが、実際に今年の夏場は何度かトラスロッドを回してネックの状態を調整したので、地味に面倒になるな~といった所です。
後は、単純にサウンドホールカバーが演奏の邪魔になります。
カバーの形状にもよりますが、これまで何もなかったサウンドホールの周辺に突起物が増えて、どうしても右手の一部が当たってしまうためです。
しばらく使う内に慣れましたが、サウンドホールカバーを付けた当初は演奏の時に当たる感触が嫌でした。
特に、右手の一部をボディに付けるようなプレイフォームだと、影響が大きい部分だと思います。
最後に、シンプルに生音で弾きたい時に邪魔というのが、一番のデメリットかもしれません。
ライブではライン出力だとしても、自宅でちょっとした時に弾いたりする時は生音というケースも多いと思います。
そんな時にいちいちサウンドホールカバーをはずさないといけないのは面倒ですよね・・。
常にスピーカーから出力したり、ヘッドフォンでモニターするなら全く気になりませんが、ライン出力と生音を兼用するギターの場合は、せっかくのアコギの手軽さや箱鳴り感がなくなってしまうのが痛い所です。
以上、サウンドホールカバーを実際に使ってみて感じた効果と、デメリットをご紹介しました。
気になっているけれどまだ購入には踏み切れていない・・という方にとって、少しでも参考になれば幸いです。
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