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音名どう捉えるか問題

ギターで何か音を弾く時に、その音の名前は頭の中でどのように表されているでしょうか?ドやレ、CやD、ルートや9thなど様々な表し方がありますが、どれが一番良いのでしょうか?今回は、音名の捉え方について考えてみたいと思います。

音名ついては私自身、過去につまづいた経験があります。

 

まだギターを始める前の小学生時代、音楽の授業で次のようなメロディーを覚えました(手元に楽器がある方は弾いてみて下さい)。

 

ドレファー ソラー ドレーミレドラー レドシ♭ー

 

音の長さが分かりづらくてすみません・・。

 

これは「シルクロードのテーマ」の一節で、授業では確かリコーダーで演奏していました。

 

楽譜を見てすぐに演奏できないので、こんな感じで完全にドレミの音名で記憶していた感じです。

 

 

 

綺麗なメロディーで音名も良く覚えていたため、ギターを始めてしばらくした頃にまた弾いてみることにしました。

 

覚えたてのメジャースケールのポジションを確認しつつ音を出してみたのですが、何か妙な違和感があります。

 

音名が何となく間違っている気がするし、特殊な響きでもなさそうな所でシ♭が出てくるし・・。

 

 

 

後々気付いたのですが、これらの違和感は音名と階名の違いを把握しておらず、ごちゃ混ぜに考えていたことが原因でした。

 

音名は「音の高さを調やスケールとは分離して表す、階名に比べより絶対的な表現」、階名は「主音に選ばれた音に対する相対的な高さ」です(Wikipediaより)。

 

小学生の時に覚えたシルクロードのテーマは、ヘ長調(Fメジャーキー)のメロディーを音名で覚えたものです。

 

一方、ギターを弾き始めてからはポジションをずらしてフレーズのキーを変えるなど、階名(移動ド)的な思考で音を捉えてるように自然となっていました。

 

階名でシルクロードのテーマのメロディーを書き直すと次のようになります。

 

ソラドー レミー ソラーシラソミー ラソファー

 

これだとギターで弾いてもしっくりきますし、不自然な♭もありません!

 

理解すると何てことありませんが、気付くまでには結構な時間が掛かりました・・。

 

 

 

ちなみに、シルクロードのテーマの原曲はト長調(Gメジャーキー)です。

 

調号に#が1つ付くキーですね。

 

音楽の授業ではヘ長調(Fメジャーキー)でしたが、これは調号に♭が1つ付くキーです。

 

両方ともハ長調(Cメジャーキー)から変化させる音は1つだけなのに、なぜ原曲のト長調ではなくヘ長調に移調されていたのでしょうか?

 

#や♭の変化記号について学習する目的だとしても、別にどちらのキーでも良いはずです。

 

 

 

これは、生徒が演奏するリコーダーで出しやすい音が優先されたのかもしれません(ト長調なら変化音はファ#、ヘ長調ならシ♭で、後者の方がリコーダーで出しやすい音?)。

 

もしくは、リコーダーの音域的にヘ長調の方がうまくメロディーが収まるのかもしれません。

 

リコーダーの吹き方は完全に忘れているので、いずれも想像ですが・・。

 

 

 

そういえば、音楽の授業でやる曲は調号に♭が付くキーになっていることが多いように思います。

 

これはピアノで弾きやすいからでしょうか?

 

理由は良く分かりませんが、#系の曲が得意なギターと相性が悪いということだけは言えそうです。

 

話が反れてしまいましたが、「シルクロードのテーマ」の件は音の捉え方が演奏者にとって凄く大事だと気付かされた出来事でした。

 

いわゆる固定ドで考えるか、移動ドで考えるかという問題ですが、どちらが良いかは一概には言えないと思います。

 

 

 

固定ドだけで考えると様々なキーに対応するのが難しいですし、移動ドだけで考えると何を土台に(どのような調性で)弾いているのか分からなくなってしまいます。

 

様々な方法があると思いますが、ギターを弾く上では基本的に移動ドで考えつつ、少しだけ固定ドの基準を持っておくようなイメージがうまくいくでしょうか・・。

 

ギターを弾いていると、ボーカルのキーに合わせるためや、響きの良い音でアレンジをするために、原曲のキーから変更することもしばしばあります。

 

前述の「ポジションをずらしてフレーズのキーを変える」ことができる特徴もありますし、ギターは移動ド的な捉え方が多めの方が良さそうです。

 

 

 

ただ、人間が歌いにくい楽器的なメロディーだったり、複雑なコード進行の上で弾いたりする時は、音をドレミで捉えるだけでは対応が難しくなってきます。

 

そういった場合は、音の度数を固定と移動の2つの視点から見るようにすると、頭の中で考えたことと演奏の内容が一致しやすくなると思います。

 

具体的には、「固定」については調性の中で現在のコードがどのような度数でどのような役割を果たしているか、「移動」についてはそのコードのスケールや構成音がコードルート音から見てどのように配置されているか、を考えるということです。

 

言葉で書くとちょっと分かりづらいですね・・とにかく、1つの見方に拘らずに多面的に音を捉えるのが良いということだけは間違いありません。

 

本当は、全部を感覚だけで把握して弾けるのが1番なんでしょうが、その境地に達することができるのはたぶん天才だけなんでしょうね・・。

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