
ジャズやボサノバなどの分野で多用されるテンションコードですが、押え方が難しかったり理論的なことが分からなかったりで、敬遠している人も多いのではないでしょうか。そこで、馴染みのあるローコードを少し変形させたテンションコードを使って、気軽にその響きを楽しんでみたいと思います。
さっそくですが、今回ご紹介するローコードなテンションコードを使って弾く曲がこちらです。
ジャズスタンダードの「A列車で行こう」です。
簡単なリードシートは次のようになります。


テーマのメロディーは様々な弾き方が考えられますが、今回のブログの主旨に則って開放弦を含んだポジションを記載しました。
コードの方は見慣れたCなどのコードの他に、D7(#11)のような初見では押え方に迷うものが混在しています。
以降、曲に使われているすべてのコードフォームを解説するので、ぜひテンションを含んだコード進行の響きを実際に体験してみて下さい。
慣れてきたら、適当なリズムで弾いた伴奏を(スマホなど何でもかまわないので)録音しておき、それに合わせてメロディーを弾くとより一層楽しめます!
なお、コードダイアグラムの数字は次のように押える指を表すこととします。
0:親指, 1:人差し指, 2:中指, 3:薬指, 4:小指

最初はCメジャーコードですが、これはテンションコードでもなんでもないお馴染みの押え方です。
「A列車で行こう」のCの部分は譜面によってはC6(シーシックス)になっている場合もありますが、この普通のCでも十分に良い響きになってます。

続いては#11(シャープイレブンス)が入ったテンションコードです。
この曲の中で最も特徴的な響きをしていると思います。
変な押え方に見えますが、良く見ると3弦2フレットを押えるローコードのD7とのちがいは1音だけです
(3弦の1フレットになっている)。
この3弦1フレットの音が#11になっているので、しっかり鳴らしたい所です。

このDm7はポップス等でも良く使う押え方です。
2弦3フレットを押えるDmを弾くこともできますが、Dm7の方が洗練されて聴こえます。

♭9(フラットナインス)が入ったテンションコードで、いかにもジャズっぽい響きです。
個人的に気にも気に入っており、たまに使うフォームです。
その際は2弦開放の音と同じB音になる5弦2フレットを省略して、スッキリした響きにすることが多いです(5弦は薬指の腹でミュートされる)。

♭13(フラットサーティーンス)が入ったテンションコードです。
ローコードのA7に1弦1フレットを加えた形で、この音が♭13になります。

最初に出てきたCメジャーに3弦3フレットが加わったC7です。
CからC7へは小指でこの音を追加するだけで弾けます。

シェイクハンドグリップという左手の親指を使った押え方です。
慣れないと難しいかもしれませんが、色々と応用がきくのでチャレンジして損はありません。

最後は9(ナインス)が入ったテンションコードです。
ローコードのD7の1弦2フレットを抜いた形です。
実はこの押え方はD7を特徴づけるF#の音(抜いた1弦2フレットの音)がないので、不完全な和音となっています。
しかし逆にその不完全さがギターらしいとも言えますし、押え方も簡単なので弾き語りなどでも使いやすいお得なコードフォームです。