
ギターは他の楽器に比べて種類や機能のバリエーションが多いので、自分に合ったものを選ぶのは一苦労です。色々と迷いながら探すのも楽しい所ではありますが、おいそれと買えるものではないので、なるべくなら失敗したくありません。今回は実体験をもとに、ギター選択の成功談と失敗談をご紹介します。
※ ギターの選び方に定石はあっても絶対に勝てる手はないと思います。あくまでも参考までにお読み頂けると幸いです。
ギターの選び方 成功談
まずは成功したギターの選び方からいきたいと思います。
1番成功率が高いと思われるのが、明確な目的を持ってギターを選ぶ時です。
そんなこと当たり前だと思われるかもしれませんが、何となく新しいギターが欲しくなって買ってしまった経験がある人も、意外と多いのではないでしょうか・・。
目的があることでギターを選ぶ時のブレがなくなり、目的に沿ったギターしか購入しなくなるので、後悔することがほとんどなくなります。
実体験としては、「とにかく生音が大きい」アコギを探しに行ったことがあります。
目的は、マイク集音で演奏する機会があったので音量を確保することと、当時はご近所への音漏れを気にしないで練習できる環境だったので、ギターをガンガン鳴らしたかったことの2つでした。
今よりも情報が少ないということもありましたが、ギターの形状や機種などは何も決めず、楽器屋さんで何本か試奏した中で1番良いと思ったものを購入しました。
このギターを買ったのは15年ほど前ですが、未だにまずまずの頻度で使っています。
同様に、「とにかくラインの音が良い」アコギを探したこともありました。
これは、ライブではラインで音を出力することがほとんどなので、そこで出来る限り良い音で演奏したいという目的のためです。
先程の「とにかく生音が大きい」アコギの時と同様に楽器屋さんに行き、今度は生音ではなくライン出力でモニターさせてもらって試奏します。
1番良いと思ったギターは生音がペラペラだったのですが、それは目的と関係ないので無視することができました(結果的にそれがハウリング防止に繋がったりもしました)。
このギターはボロボロになって引退させるしかないくらいまで、長い間弾き続けることになりました。
目的を持ってギターを選ぶのよりは少し受動的ですが、他人に勧められて選ぶのも、良い方向に転ぶことが多いように思います。
これは、思い込みが排除され、客観的に必要なギターが見えているからかもしれません。
特にギターに詳しい友人やバンド仲間、ギターの先生などからの「このギターが合いそう」といった助言は、ギターを選ぶのに大いに参考になります。
同じように楽器屋さんのお勧めを聞いても良さそうですが、こちらは次点という感じがします。
確かに、楽器屋さんしか知らない掘り出し物を教えてくれたりしますが、楽器屋さんはこちらがどんな風なギターを弾くのかを知らないためです。
現地であれこれ説明しようにも、音楽の嗜好やプレイスタイルは意外と伝わらないことも多いです。
そういう意味では、懇意にしている楽器屋さんがあると、最強かもしれません・・。
ただし、誰の意見を聞くにせよ最終的に判断するのは自分自身なので、雰囲気に流されたりすることなく冷静に考える必要はあると思います。
成功談の最後は安直ですが、好きなギタリストのシグネチャーモデルを選ぶことです。
ギタリストは自分だけの音を出そうと苦心しますが、結局は憧れているギタリストの音がベースになっていることが多いと思います。
そういった意味で、シグネチャーモデルはうってつけのギターではないでしょうか。
私も何本か弾いてきましたが、満足度がかなり高いものばかりでした。
ただ、高価なものが多いことと、本人が使っているギターと微妙に仕様が異なっていることも多いので、その辺りは注意が必要かと思います。
ギターの選び方 失敗談
次に失敗したギターの選び方です。
今から考えると我ながら浅はかですが、ブランドでギターを選ぶのは失敗でした。
というのも、有名なギターメーカーの有名なシリーズなので間違いない!と思い込み、他メーカーの競合機種とろくに比較もせずに購入したことがあるからです。
確かにそのギターは良かったのですが、どちらかというと歌モノのバックで映えるような音色で、インストをやりたかった私との相性は良くありませんでした・・。
ピックアップを変えたりもしましたが思うようにならず、最終的に手放してしまいました。
バッグなどのブランド品も同じかもしれませんが、自分が使うシチュエーションや使い方のイメージが希薄だと、どんなにものが良くても宝の持ち腐れなのかもしれません。
また、名前だけで選べるほどのブランド力があるということは、それなりに高額なことも多いです。
しっくりこなかった時の失敗感が、より強まるというのもブランドものの特徴だと思います。
ただ、一度所有することで合わないことを身を持って感じることができるので、そこは収穫だったかもしれません・・。
続いての失敗したギターの選び方は、お気に入りのギターの後継機種を無条件に選ぶというものです。
これは、メインギターを新しくしたり、メインのバックアップ用のギターを用意する時に起こりやすいかもしれません。
同じメーカーの後継機種なので基本的に同じ、もしくは上位互換のように思って選んでしまいがちです。
しかし実際には仕様が変更されていることも多くあり、使用感が大きく異なることもあります。
私が購入した後継機種は、ピックアップシステムが進化した変わりに、配線などが複雑化してノイズが出やすく、壊れやすい仕様になっていました。
以前のモデルはノイズが少なくて丈夫な所が気に入っていたので、改変された部分が自分に合わなかったという感じです。
最終的には手放して、他のメーカーのギターに乗り換える形になりました。
長い間弾いて来た機種でも、しっかり冷静に判断しないといけないですね・・。
最後に、最新技術や個性的な技術が使われたギターを選ぶのも注意が必要だと思います。
これまでにない技術が盛り込まれているのは、それだけで1つの個性になるので、飛びつきたくなる気持ちも分からなくありません。
しかし逆に言うと、これまで出来ていたことができない可能性もあります。
20年ほど前・・今ではあまり珍しくありませんが、木材以外のギター材が出始めました。
私も何かカッコ良いなと思い、ネックがグラファイトで出来ていて、フレットがネックに打たれているのではなく貼り付けられているという、当時としては前衛的なギターを購入しました。
何年かは問題なく弾けていたのですが、ある時から音が詰まって鳴らないポジションが出てきました。
普通なら修理で直ったかもしれませんが、そのギターはネック調整やフレット交換ができません。
そのギターメーカーの本社工場なら直せるとかだったかもしれませんが、高額で長期間かかるような感じだったと思います。
結局、そのギターは引退させて新しいギターを購入することになりました。
新しい技術は魅力的ですが、それに対する知見があまりなく、自分で何とかしないといけないのが難しい所だと思います。
セカンドギターとしてや、その技術を待ってました!みたいな玄人が使うのが良いのかもしれません。
ギターなんて好きに選べば良いとは思いますが、目新しさだけで飛びついてしまうと、私のように微妙に後悔してしまうかもです!