
子供よりも大人、それも年齢を重ねれば重ねるほど、楽器の上達が遅くなるイメージはないでしょうか。私自身も中年と呼ばれる年齢に差しかかって、曲を覚えたり新しいアプローチをしたりするのに、以前よりも時間が掛かっている気がします。今回はいくつになっても楽しくギターを弾くために、その原因を考えてみたいと思います。
大人とは逆に、子供の上達が早いことについては過去のブログ「子供は上達が早いって本当?」で考察しました。
そこでは、子供の「素直に言われたことをする」「練習時間を取りやすい」「自分で限界を決めない」という3つの特徴を挙げて、上達が早い(早く感じる)理由としています。
大人の上達が遅いのは、まずこれら子供の特徴の逆の状態だからと考えられますね。
つまり「自分で勝手に判断する」「練習する時間がない」「自分には無理だとあきらめる」といった所です・・。
これらは確かに的を射てるように感じます。
しかし、いざ自分が年齢を重ねてくると、他にも大きな原因があると思うようになりました。
それは「インプットが難しくなる」ことと、「すぐに結果を求める」ようになることです。
次からはそれぞれの上達を阻害する原因について、詳しく見ていきます。
インプットが難しくなる
年齢を重ねるほど、人の話をきちんと聞かなくなる傾向はないでしょうか?
もちろん人にもよると思いますが、年配の人ほど自分のことばかり話したり、聞いてるようで聞き流していることが多いように感じます。
これは仕事などでたくさんの情報を処理しないといけないので、大事なこと以外はいちいち詳しく考えないような癖が付くからかもしれませんし、そもそも情報を処理する機能が低下しているからかもしれません。
他にも、何か生物学上の理由もあるのかもしれませんが・・。
とにかく、外部からの刺激について、自分の周りにバリアを(勝手に)張って弱めているのは事実だと思います。
それが功を奏する場合もあるでしょうが、楽器に関しても同じ姿勢で臨むのは不都合が出てきそうです。
分かりやすい例として、曲の聴き方があります。
子供に比べて大人は、自分が取り組んでいる曲の音源すら聴かずに、練習していることが多いです。
じゃあどうやって練習しているかというと、楽譜を見てその通りに弾く感じです。
別に間違ってはいませんが、これって外国語を勉強するのに教科書だけを使ってやっているような状態ではないでしょうか?
蓄音機すらない時代なら、楽譜が唯一の貴重な情報源かもしれません。
しかし、現代では楽譜を具現化した実際の音をいくらでも聴くことができます。
しかもそれらの音源は、自分では到底できない演奏をするトッププレイヤーのものであることが多いです。
音源はある意味正解の1つで、その音を確認しておくことで自分の演奏がうまくいってるか、そうでないかを、音で判断できるようになります。
逆に音源を聴いていないと、楽譜の通り弾けているかを確認しながら練習する形になります。
間違ってはなくても、何となく音楽の本質から外れている気がしないでしょうか・・。
ではなぜ音源を聴かないかというと、前述のように自分の周りにバリアが張られているので、何かをインプットすることが大変だからだと思います。
楽譜の場合は(言葉は悪いですが)機械的になぞっていけば一応何とかなるので、こちらの方が楽に感じるのではないでしょうか。
私を含めて年配の方は、インプットするが難しくなっていることを一旦自覚して、積極的にバリアを弱めることが大切かもしれません。
すぐに結果を求める
年齢を重ねるほど、すぐに結果を求めがちになります。
もしかしたら、人生が残り少なくなってきているので、悠長なことを言ってられないという思いが出てくるのかもしれません・・。
しかし、どちらかというと人生経験を積んできたが故に、そういった思考になる気がします。
例えば、大概の仕事は利益や成果を出すように求められます。
長く働いていると、なるべく効率的に結果が出るようなことを、追い求める思考になっても不思議ではありません。
他にも子育ての場合でも、効果が見えないような子供の習い事は辞めさせて、他のことにお金を回そうというようなシチュエーションも良くあります。
そういった考え方が良いか悪いかは置いておいて、今問題なのはそれらを楽器に対しても同じように当てはめてしまうことだと思います。
多くの楽器は習得するまでに時間を必要とするので、なかなか結果が伴ってきません。
しかも、テストの点のように分かりやすい指標がないので、上達したか分かりづらい部分もあります。
練習してもあまり上手くなっていない気がして、モチベーションが下がって練習しなくなる・・しばらくするとまた弾きたくなって練習するが・・そんなループに陥りやすくなっています。
もちろん大人なので、すぐに結果は出ないと頭の中では理解しています。
実際に、年齢を重ねるほど基礎が大事、基礎から教えてという方が多いようにも感じます。
それは間違いではありませんが、行動が伴わず早い段階で結果を求めるようになることがほとんどです。
その点、子供の方が見返りを求めず、淡々とメニューをこなしてくれているかもしれません・・。
確かに結果を求める気持ちは分かります!
私だって、例えばエスニックなギターアレンジがしたいから民族音楽を聴こう!みたいに、自分本位で選曲することがあります。
そして少し聴いて参考になるような部分がなければ、ガッカリして他のことに興味が移る・・。
若い頃なら、身体に染み込ませようとヘビーローテーションしてたはずです。
結果を求めてしまうことの対策は難しいですが、ひとまず1つ前の「インプットが難しくなる」でもあったように、すぐに結果を求めてしまうことを自覚することが大切だと思います。
その上で、自分が思っているよりも少し長いスパンで物事を継続し、冷静に効果を計るのが良いのではないでしょうか。
私も今回考えてきたことを実践しながら、ギターに取り組みたいと思います。
お互い、生涯ギターを楽しみながら過ごせるようになれたら良いですね!