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変則チューニングはなぜ難しいか

特にソロギターやスライドギターで良く使われる変則チューニング。レギュラーチューニングでは得られない響きやフレージングを実現してくれますが、敷居が高く使うのを避けてきた人も多いのではないでしょうか。今回は、実際に変則チューニングを使ってきて感じた難しさをまとめてみたいと思います。

のっけから変則チューニングを使いこなしてるような雰囲気を醸し出していますが、私が実際に曲作りやアレンジに使っている変則チューニングは2種類だけです。

  • ドロップD (6弦をEからDに下げる)
  • ドロップD,G (ドロップDの状態からさらに5弦をGに下げる。オープンG6とも呼ばれる。)

DADGADチューニングを試してみたり、アレンジする曲専用のチューニングを自分で作ったりということもありますが、それぞれ1曲やったくらいのレベルです。

 

なので、がっつり変則チューニングを使っている訳ではない、レギュラーチューニングがメインの人間の意見だと思って読んで頂ければ幸いです。

安定しない

 

変則チューニングの難しさはいくつかあると思うのですが、最近感じているのはチューニングがなかなか安定しないということです。

 

例えば、前述のドロップDにするために6弦をEからDに下げたとします。

 

そうすると、6弦が緩められた分、他の弦にテンションが掛かり音が高くなります。

 

結果、6弦の音程はチューナーで見てばっちり合っているはずなのに、他の弦と一緒に弾くと、微妙に気持ち悪い状態になったりします。

 

 

 

そんなの、トレモロユニットがついてるギターだけの話では?と思われた方もいるかもしれません。

 

しかし、ノントレモロのエレキでも、がっしり作られたアコギでも、同様の現象がわずかながら発生します(おそらくネックの反り具合がわずかに変化するため)。

 

ピッチを安定させるには、時間をかけて何度もチューニングする必要が出てきます。

 

 

 

しかし、ライブの本番中で時間が限られている場合、そんな悠長なことは言ってられません。

 

普段の練習の時でさえ、チューニングを変えるたびに時間が掛かるとなると、やる気がそがれます・・。

 

解決法としては、変則チューニング専用のギターを用意しておくことが挙げられますが、それができる状況は限られてきます。

 

変則チューニングを数種類使うのであれば、とんでもない(保守や運搬の)コストになりますし・・。

 

現実的な解は、全体の響きがおかしくないように、感覚で合わせることかもしれません。

 

例えばドロップDの場合、6弦を下げることによって他の弦の音程が上がるので、6弦はDよりもわずかに高くチューニングします。

 

6弦以外の音程の変化は、ギターや弾いている環境などによって変わってきます。

 

変則チューニングで演奏する曲のメインになる和音やフレーズを弾いてみて、妥協点を探さないといけません。

 

この辺りの、(言葉で表すのが難しい)微妙な調整を短時間でやらないといけない所に、変則チューニングの難しさを感じます。

面倒くさい

 

そもそも、変則チューニングが絡むと面倒です。

 

別に変則チューニングが嫌いな訳ではないんですが、ちょっとまた最近の悩みを書かせて下さい・・。

 

 

 

ライブで演奏する曲順(セットリスト)を決めていたのですが、途中に変則チューニングの曲を2曲入れることにしました。

 

当然ですが、変則チューニングの曲を演奏するにはチューニングを変えて、曲が終わったら戻す作業が必要になってきます。

 

しかし、何度もチューニングを変えるのは全体のテンポが悪くなるので、避けたい所です。

 

 

 

結局、最終的なセットリストは変則チューニングの2曲が並ぶようにして、チューニングの回数が最小になるようにしたのですが・・これってセットリストがチューニングに左右されている状態ですね。

 

「流れ」を重視してセットリストを決めていることに変わりはないのですが、何となくモヤモヤします・・。

 

その後、ライブの曲を練習して仕上げていく時にも、少し問題が出てきます。

 

セットリストの1曲目から通して練習して流れを体に染み込ませている時に、変則チューニングの曲の仕上がりが今一つなことが分かりました。

 

その曲を重点的に練習したいのですが、通し練習の後だとまたチューニングを変えないといけません(レギュラーチューニングに戻っているため)。

 

変則チューニングの曲順になったタイミングで反復練習することもできますが、それでは全体の流れをブツッと切ってしまいます。

 

 

 

さらに、反復している間に、最初に挙げたチューニングが安定しない問題が顕在化してきて、結局微調整しないといけなくなりますし・・。

 

何だか愚痴みたいになってしまいましたあ、面倒さが少し伝わったでしょうか?

汎用性がない

 

変則チューニングの一番の難しさは、汎用性がないことだと思います。

 

例えばレギュラーチューニングではできていた耳コピやアドリブが、変則チューニングにした途端にできなくなってしまいます。

 

レギュラーチューニングでにはない専門性を求めて変則チューニングにしているので、汎用性がないのは当たり前かもしれませんが・・。

 

楽器を自由に操るために練習しているのに、急にそれができなくなるのは、何とももどかしく感じます。

 

 

 

加えて、変則チューニングは特定のキーを想定して使用することが多いです。

 

これは、キーを変更するのが難しいとも言えます。

 

例えば、ボーカルに合わせて急遽キーを変えないといけない時とか、途中で転調する曲を演奏する時に、変則チューニングは融通が利きづらく大変です。

 

じっくりと時間を掛けてギターの弾き方を考えられるシチュエーションでないと、変則チューニングの効果を発揮するのは難しそうですね。

 

 

 

しかし、世の中には強者がいるらしく、例えばDADGADなどの変則チューニングでも、レギュラーチューニングのように流麗にアドリブなどをこなすギタリストがいるらしいです。

 

そこまで行くと、そのギタリストにとってDADGADは変則チューニングではなく、もはやレギュラーチューニングと言えそうですが・・。

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