
今ではクリップ型チューナーやスマートフォンのアプリでチューニングする人が多いですが、20年程前はまだ音叉でチューニングする人も沢山いたと記憶しています。楽器店などには低い音が出るごつい音叉もありましたが、一般的にはA=440Hz(ヘルツ)の小振りなものが普及していました。ここでふと浮かんだ疑問「ギターが出している音って何Hzくらいなんだろう?」について書きたいと思います
もちろんギターの音は人工的な音ではないので、音の高さを感じる基音の他に、それより高い倍音が沢山出ています。ここで言う周波数は基音のものであるという他に、以下の前提条件で考えたいと思います。
- 基準ピッチはA=440Hz
- 十二平均律(1オクターブを等しく12等分した音律)
音叉の440Hzの音は、ギターでは1弦5フレットのAに相当します。音は1オクターブ高くなると周波数が倍に、逆に1オクターブ低くなると周波数が半分になるので、次のようになります。
- 1弦5フレットのA:440Hz
- 1弦17フレットのA:880Hz
- 3弦2フレットのA:220Hz
- 5弦開放のA:110Hz
ここまでは暗算でなんとかなりそうです。
それでは、A以外の任意の音、例えば1弦開放のEなどは何Hzになるのでしょうか?数字が苦手な方は、間を飛ばして最後の結果のみご覧下さい!
1オクターブは半音が12個分なので、12回掛けたら2になる数を使います(1オクターブ高くなると周波数が「2」倍になるためです)。

これは数学の授業で習ったルート2と同じ考え方です。ルート2は2回掛けたら2になる数です。

分かりやすく表記するために、同じ意味ですが分数の指数で表すことにします。

3回掛けたら3になる数は

です。

少し感覚がつかめたでしょうか?
ここで12回掛けたら2になる数に戻ります。

半音がh個分高い周波数は、基準の周波数をFとすると

と表せます。
440Hzから1オクターブ(12半音)高い周波数は、F=440, h=12なので

440Hzから全音(2半音)高い周波数は、手計算では限界なので関数電卓(スマホアプリやwindowsの電卓にも機能があります)を使って計算すると

このように、任意の音の周波数が分かるようになりました。
基準の音より低くなる場合は、hをマイナスにすればOKです。マイナス乗は、割ることと同義です。
440Hzから全音(2半音)低い周波数は

となります。
最後に、これまででご説明した方法で計算した、レギュラーチューニングの開放弦の音の周波数を記します。直接ギターの演奏には役立たないかもしれませんが、詳細に書いてある記事を見たことがなかったので、まとめさせて頂きました!
レギュラーチューニングの開放弦の周波数
- 1弦:329.63Hz
- 2弦:246.94Hz
- 3弦:196.00Hz
- 4弦:146.83Hz
- 5弦:110.00Hz
- 6弦:82.407Hz