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「うちで踊ろう」のコード進行を分析してみよう

新型コロナウイルスによる緊急事態宣言が延長されようという中、星野源さんの「うちで踊ろう」に合わせるコラボ動画は、まだまだ盛り上がりを見せていますね。色んな楽器の楽譜や、ギターの弾き方についても、数多くの投稿がありますが、曲のコード進行の分析(アナライズ)はまだ見られないため、挑戦してみたいと思います!

 

 

 

分析のもととなる楽譜はこちらです。

 

ご本人のTwitterにアップされているものなので、材料としては申し分ないですね!

 

 

 

シンプルですが、すごく奥が深い譜面です。

 

印刷してじっくり取り組んで行きましょう!

基本のおさらい

 

まずは、分析の基本となるキーとダイアトニックコードを整理しておきましょう。

 

 

 

楽譜の調号と見ると、この曲はGメジャーキーか、平行短調のEマイナーキーだと分かります。

 

調号の見方については、こちらのブログで触れているので、何だたっけ?という方はご参照下さい。

 

 

 

Gメジャーキーのダイアトニックコードを1度から7度まで書き下します。

 

IM7: GM7 (メジャーセブンス)

IIm7: Am7 (マイナーセブンス)

IIIm7: Bm7

IVM7: CM7

V7: D7 (セブンス)

VIm7: Em7

VIIm7(-5): F#m7(-5) (マイナーセブンフラットファイブ)

 

これらは、曲中に出てきても全くおかしくないコードですね。

 

 

 

冒頭の楽譜では、メジャーを△で、マイナーを-で表記しています。

 

例えばC△9はメジャーナインス、E-9はマイナーナインスということになります。

 

E-9の「-」が9にかかるのではない(フラットナインスではない)ことに注意して下さい。

 

 

 

念のため、ダイアトニックコードをこの記法で再度書いておきます。

 

I△7: G△7 (メジャーセブンス)

II-7: A-7 (マイナーセブンス)

III-7: B-7

IV△7: C△7

V7: D7 (セブンス)

VI-7: E-7

VII-7(-5): F#-7(-5) (マイナーセブンフラットファイブ)

Aパート

 

それでは、リハーサルマークのAから見ていきましょう。

 

楽譜には、格段の左上に小節数も書かれていますので、適宜ご参照下さい。

 

 

 

まず1小節目にC△9が出てきます。

 

これはIV△7のダイアトニックコードのC△7に、テンションを加えたコードです。

 

9thのDの音もダイアトニックスケールの音なので、何も変わったところはありません。

 

 

 

次のB7は、3小節目のE-9に対するV7のコードです(セカンダリードミナントと呼ばれます)。

 

E-9に強く解決させるために、本来はIII-7のB-7のところが、B7に変化しています。

 

 

 

解決した先のE-9は、VI-7のE-7にこれまたテンションを加えたものです。

 

かなりお洒落な響きになりますね~。

 

 

 

4小節目のG7は、5小節目のC△9に対するセカンダリードミナント。

 

本来はI△7のG△7が、G7に変化しています。

 

途中にG7の裏コードであるD♭7#11を挟んでいるところがニクイ!

 

 

 

5小節目からはこれまでと同じ進行ですが、9小節目でまたC△9に行くと見せかけて・・IV△7の代理コードのII-7すなわちA-7へ!

 

 

 

ここからのA-7, B-7というII-7, III-7の動きも良く見られるものですが、着地点がなんとF/G!

 

 

 

F/G(エフオンジー)は言い換えるとG7sus4(9)です。

 

構成音を書き下して確認してみて下さい。

 

これまでに登場したG7と同じく、次のC△9にスムーズに移行できます。

Bパート以降

 

続いて、11小節目からのリハーサルマークBのパートに入ります。

 

 

 

基本的にはAパートのコード進行

 

C△9 B7 E-9 G7

 

がシンコペーションしてどんどん登場してきます。

 

 

 

新たに出てくるのは、15小節目の終わりに出てくるD-7です。

 

ダイアトニックコードではV7のD7でした。

 

 

 

マイナーセブンスになっているのは、C△9にツーファイブでD-7 G7 C△9とスムーズに繋げるためです。

 

このD-7はリレイテッドII-7と名前が付いていますが、ご本人は無意識に入れているかもしれません。

 

 

 

17小節目のF7#11は、曲の最後のコードとしても使われています。

 

 

 

#11のテンションから裏コードと考えると、平行短調のI-7であるE-7に解決します。

 

エンディングはこのE-7に行かずに、寸止めで終わっている(良い意味で)イヤラシイ演出と捉えることができます。

 

 

 

もう一方で、19小節目のC△9にもすんなり繋がって聴こえます。

 

これは、F7#11の構成音を並び替えるとG7sus4(9 -13)という、いかにもC△9に向かいそうな不思議なコードになっていることが要因ではないでしょうか。

 

 

 

残る特筆すべきコードは、B'パートの20小節目のD-7です。

 

これまではD-7 G7 C△9とツーファイブのセットで出てきていましたが、ここでは間のG7がなく直接C△9に進行しています。

 

 

 

G7がなくてもスムーズに繋がって聴こえるのは、無意識にツーファイブを意識しているからかもしれませんし、E-9 D-7 C△9とベースが1音ずつ下がってC△9に向かっているからかもしれません。

 

D-7は構成音を展開するとG7sus4(9)とも捉えられます(物は言いようのところもありますね・・)。

さいごに

 

「うちで踊ろう」のコード進行を一通り分析してきました。

 

キャッチーな曲ながら、様々な手法が散りばめられていましたね!

 

特にIVのC△9に向かう様々なパターンが特筆ものです。

 

 

 

コード進行の分析(アナライズ)は、曲を再現するのには必要ありませんし、感覚で作ったかもしれない進行を分析するのは、ヤボだと仰る方もいるかもしれません。

 

 

 

しかし、分析することのメリットは計り知れません!

 

 

 

曲をすんなり覚えることができますし、移調するときにも対応しやすくなります。

 

さらに、ソロを弾くときにスケールを選択できたり、コードにハマりやすいテンションが選べたり、コードを付け替えるとき(リハモ)のアイデアが得られたり・・。

 

 

 

なので、好きな曲を題材にどんどんアナライズしてみて下さい。

 

お気に入りの曲達のコード進行が、キーが違うだけで実は同じパターンだったりするかもしれません・・。

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