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爪弾きか肉弾きかそれが問題だ

指弾きするとき、爪で弾きますか?それとも指先の肉で弾きますか?フィンガーピッキング界では爪派が圧倒的多数です。爪のケアの話に隠れてあまり語られることのない、肉弾きについて書きたいと思います。

肉弾きのギタリスト

 

指弾きメインの著名ギタリストで考えると、肉弾きは少数派です。

 

 

 

パッと思いつくのはエレキだと

  • (ある時期以降の)ジェフ・ベック
  • マーク・ノップラー
  • タック・アンドレス

アコギだと

  • トミー・エマニュエル
  • ステファン・グロスマン
  • ダック・ベイカー

最近だと、小沼ようすけさんが肉弾きに転向しました('21 6/21追記:最近はさらに進化して、爪の形を工夫し、状況に応じて指の角度を変えて肉弾きと爪弾きの割合を変えいるそうです)。

 

他にも、ブルースマンやスライドギタープレーヤーには肉弾き派が結構います。

 

 

 

逆に爪弾き派は、上記以外の著名ギタリストとなるのでとても多いです。

 

特にクラシックギターは爪弾きがほぼ必須条件ですし、スティール弦のソロギターでも爪弾きが主流です。

 

 

 

しかし総数で考えると、爪弾き派のギタリストと肉弾き派のギタリストは同じくらい存在するのではないでしょうか。

  • 職業上爪を伸ばせない
  • スポーツするとき危ない
  • もともと爪が弱い

など音楽以外の理由で、肉弾きを選択している方は多いでしょう。

 

もちろん単純に肉弾きの音が好きだから、という人もいると思います。

 

 

潜在的には沢山いる肉弾きギタリストのために、まずは主流の爪弾きについて考えた後、それを逆転して肉弾きを活かす方法を考察したいと思います。

爪弾きについて

 

爪を使ってギターを弾くスタイルは、クラシックギターの巨匠アンドレス・セゴビアが完成させたと言われています。

 

完全に爪だけを使うか肉と同時に当てるか、付け爪をつけるかサムピック(親指にはめるピック)やフィンガーピック(親指以外にはめるピック)を使うか、などの細かいバリエーションはあります。

 

しかし、指先の肉よりも硬いもので弾くのは共通しています。

 

 

 

爪弾きのメリットを考えてみましょう。

  • 硬いもの同士がぶつかるので、クリアでよく通る音が出せる
  • 大きな音量が出るので、ダイナミクス(強弱)をつけやすい
  • 浅い位置でピッキングできるので、速いフレーズが弾きやすい
  • フラットピックと併用しても音色の違いが少ない(ハイブリッドピッキングのとき)

といった所でしょうか。

 

 

 

逆にデメリットは、爪の手入れが必要なことです。

 

日々少しずつ伸びてくるので、弾きやすい長さ・形状に整えておかなくてはなりません。

 

 

 

万が一爪をぶつけて割ってしまったりすると、演奏のクオリティが下がるリスクもあります。

 

冬でもないのに右手だけ手袋をしている人を見たら、いたわってあげて下さい。。

肉弾きについて

 

肉弾きの特徴は爪弾きの逆です。

  1. 人間味のあるふくよかな音が出せる
  2. 大きな音量は出しづらい
  3. 速いフレーズが弾きにくい
  4. 特別なケアは必要ない

順番に見ていきましょう

 

 

 

「1.人間味のあるふくよかな音が出せる」は爪弾きとの最大の違いだと思います。

 

爪弾きの方が洗練された前に出てくる音ですが、肉弾きが劣っているわけではありません。

 

 

 

爪弾きの音は出音に楽器のファクターが多め、肉弾きは人間のファクターが多めな感じがします。

 

つまり、同じ肉弾きでも個性が出やすいのではないでしょうか。

 

 

 

また、音楽では前に出てこない、裏方的な音も必要です。

 

ルーパーを使い始めたときに目からウロコだったのですが、バッキングを肉弾き、リードをピックで弾くと全体のバランスがとても良くなります。

 

ピックよりも指で弾くベーシストが多いことからも、肉引きの音色が他の音と調和しやすいのがわかります。

 

 

 

「2.大きな音量は出しづらい」は爪やピックよりも柔らかいので仕方ありません。

 

練習を続けると指先が硬くなってきて大きな音も出ると言われますが、個人差がありそうです。

 

 

 

私は肉弾きですが、ある程度まで硬くなると皮がボロンとめくれてゼロ(むしろマイナス)スタートとなるのを繰り返してきました。

 

なので、演奏フォームや機材面など、指先を硬くする以外でダイナミクスの改善に取り組んでいます。

 

たぶんトミー・エマニュエルの指先はカッチカチなんでしょう(触ったことないですが・・)。

 

 

 

肉弾きは音量差はつけにくいですが、わずかな音量差をつけるのは爪弾きより得意かもしれません。

 

歪ませたエレキギターなど、狭いレンジの中で音に表情をつけるときは、有利な奏法になる可能性があります。

 

 

 

「3.速いフレーズが弾きにくい」については、爪やピックより分厚い指先を弦の間に入れないといけないので、これまた仕方ありません。

 

指先が現にふれるとミュートの効果がでるので、音も切れ気味に聴こえます。

 

逆に言うと、歯切れの良いフレーズや、弾かない弦をミュートしなければならないスライドギターでは、真価を発揮しそうです。

 

 

 

「4.特別なケアは必要ない」のはすごく良いですね。

 

指先をケガしない限り、安定したクオリティでプレイできます。

 

ただ、めくれた指の皮が現に引っかかると気持ち悪いので、私は手洗いの後にハンドクリームをぬって対策しています。

さいごに

 

いかがだったでしょうか?

 

自分が肉弾きなので、そちらの方を持つ内容になってしまいました・・。

 

 

 

私が肉弾きになったのは、ギターを始めたころ情報が少なく、それが当たり前だと思っていたからです。

 

少し爪弾きも試しましたが、爪がもともと弱くて割れたり変形してたのと、弾いたときの感触が気持ち悪かったのでやめました。

 

 

 

今回ご紹介したように、どちらの弾き方にも良い所がありますし、目指すスタイルによって適した弾き方も変わります(人一倍の工夫がいりますが、メジャーな弾き方の逆を選ぶのもありだと思います)。

 

 

 

どう指弾きするか迷われている方は、サムピックなどのオプションの選択肢も含めて、色々と試してみることをおすすめします!

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