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即興でなくてもアドリブができる!?

ギターを始めたころは、アドリブで弾くなんて神の所業だと思っていました。しかしギターを長く続けている内に、曲のコピーやアレンジのように練習したり経験したりして身に付いていくものだと感じるようになってきました。このブログでは、高難易度と敬遠されがちなアドリブの誤解を解き、その楽しさをご紹介できればと思います。

始めに断っておきたいのですが、私はジャズプレイヤーやエレキギターでガンガンセッションに参加されているような方に比べたら、たいしたアドリブはできません。

 

これは、ソロギターをベースにした1人でのパフォーマンスをメインに行なっており、自分以外の音と合わせる機会が少ないのもあると思います。

 

しかし、逆に中立な立場で解説できるのではないかと思うので、少しの間お付き合い下さい・・。

アドリブの誤解

 

「この曲のソロはアドリブで弾きました」と言うと「アドリブだから毎回全然違うソロになるんでしょ?」とコメントされることがあります。

 

確かにピッタリ同じソロになることはありませんが、どれくらい違うかはケースバイケースです。

 

ここにアドリブの誤解がある気がします。

 

 

 

アドリブだからと言って、同じフレーズ(例えば自分の手グセやお気に入りのライン)を使ってはいけないというルールはありません。

 

ジャズのレジェンド達の演奏を聴いていても、1回のソロの中で同じフレーズが複数回出てくることは多々あります(リズムが違うなどバリエーションが様々ありますが)。

 

極端に表現すると、あらかじめ作り込まれたソロのあるフレーズのニュアンスをその場で少し変えるだけでも、最小限のアドリブと言えるのではないでしょうか。

 

 

 

むしろ、毎回全然違うソロでかつ音楽的に表現するなんてとても大変で、その必要があるのかも不明です。

 

アドリブという4文字の言葉の中にすごく幅があって、アドリブなんて絶対にできないと思っている人はその幅の一番高度な部分を見ているのではないでしょうか?

アドリブへの入り口

 

前述の通りアドリブにも色々あって、キーやテンポを決めずにやる純度100%のアドリブもあるでしょうし、コード進行が決まっている中でのソロのように制約がある場合もあります。

 

コード進行が決まっている場合でも、例えばある部分はキメフレーズとして指定されたフレーズを弾かないといけないこともあるでしょう。

 

そうなると、段々と自由に弾けるスペースが少なくなってきます。

 

 

 

逆に考えると、大体は何を弾くかを決めておいて自由に弾くスペースを少なくすれば、慣れていない人でもアドリブがしやすくなりますね。

 

聴いている人はわざわざアドリブか否かを判断しているわけではないので、そこは演奏者の裁量で決めてしまえると思います。

 

ソロをコピーした時などでも、一部を自由に弾くスペースにしてみたら毎回スリリングでおもしろくなるかもしれません。

 

 

 

アドリブの小咄として、吹奏楽の顧問の先生から「明日までにアドリブパートの楽譜を書いてきなさい」と言われた・・というのがあります。

 

これは半分は笑い話ですが、半分はあるべき姿なのではないでしょうか。

 

まったく準備せずに神が降りてくるのを願って演奏する人のアドリブより、一生懸命時間をかけて準備をした人のアドリブの方が聴けるはずです。

 

後は徐々に作り込む部分を減らしていければ良いわけなので・・。

 

 

 

最近なるほどと思ったアドリブの手法として、最小限の音数に(例えばキーCでドの音だけなど)絞ってアドリブするアプローチがあります。

 

「自由に」と言われるとどうして良いか分からなくなるので、出来ることを少なくしてしまってリズムやニュアンス、他に鳴っている音などに集中するという発想です。

 

自由に弾くスペースを少なくするのと組み合わせると、アドリブの入り口としてはとても入りやすいですね!

アドリブの楽しさ

 

かっちり決まったアレンジの曲は、どうしても再現するのに神経がいってしまって真顔で弾きがちです。

 

その点、アドリブだと自分の得意のフレーズが出たり、想像してなかった展開になったりした時についつい笑顔が出てしまいます。

 

ビシッと着飾った前者も良いですが、普段着の後者も魅力的ですよね。

 

譜面がなくても、色んな人や楽器とのセッションができるという超弩級のお楽しみもあります。

 

 

 

矛盾した言い回しですが、かっちり決まったアレンジを作るときにもアドリブを利用することができます。

 

例えば曲のギターソロを考えるのに、録音しておいたバッキングを流して、延々とアドリブします。

 

この時点ではあまり聴けない演奏でも、まったく問題ありません。

 

大事なのは、弾いている内に出てきた良い感じのフレーズを残したり微修正したりして、徐々にソロを構築していくことです。

 

バッキングの音につられて音楽的なフレーズが出てきやすいので、ぎこちないソロになりがちな方は試して下さい!

 

 

 

最後に、私が演奏したセッションの定番曲「Chameleon」の動画を2種類貼っておきます。

 

どちらもテーマからブレイクの後アドリブソロ、ブレイクの後に再度テーマに戻るという構成です。

 

1つ目の動画は、この曲をライブで演奏し始めたときのもの。

 

2つ目の動画は、ある程度この曲になれてきたときのもので、会場がリラックスした雰囲気だったので少し冒険しようとして弾いたソロです。

 

アドリブソロの最後6小節ほどのフレーズはあらかじめ決めておいたもので、アドリブがグズグズになっても最後に戻って来れるようにしています!

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