前半のブログでは、本番中に突然曲やフレーズが飛んでしまう現象について、巷で良く言われるメジャーな原因を紹介しました。今回は少しマイナーで気が付きにくい原因を、考えていきたいと思います。
演奏の難易度が高い時
本番ではテンションが上がり、練習で弾いている時よりもテンポが上がることがあります。
練習では経験していない高難易度に、本番でいきなり挑戦するような形ですね・・。
曲やフレーズの飛びを誘発するであろうことは、想像に難くありません。
また、楽器を弾いていると、少しずつ難易度の高い曲にチャレンジしがちになってきます。
出来ることを増やし、より感情豊かに表現するために、それは必要不可欠なことかもしれません。
しかし、自分のキャパを大きく超えたことを本番でやろうとすると、曲が飛んでしまうことがあります。
私がやらかしたのは、ソロギターでベースとメロディーの二声が同時に動き続けるようなアレンジの曲でした。
アレンジ自体は時間を掛けられる作業なので、複雑なものでも少しずつ取り組めば何とか完成させることができます。
一方で実際に本番で演奏すると、弾き方が分からなくなってしまい、復帰するまでの何小節もの間、ただ誤魔化しているだけの音を、たくさんの人に聴かせてしまうことになりました。
もちろん、曲の練習自体はしっかりやったつもりです。
ただキャパオーバーの曲を手の動きだけで覚えて、勢いで弾き切ろうとしていたのが良くなかったんだと思います。
わずかな指のもつれなど、一度想定と異なる動きになってしまうと、流れだけで覚えた曲の弾き方をすぐに思い出すのは困難です。
複雑な曲が必ずしも音楽的に優れている訳ではありませんし、うまく演奏できないリスクも大きくなってきます。
選曲やアレンジの段階から、最終目標(本番での演奏)を見据えて行うのが理想だと言えそうです。
また、複雑であったとしても自分が何を弾いているか分かっていれば、曲が飛ぶようなことは起こりにくくなります。
ただ必死に指を動かして練習するだけでなく、曲やフレーズの背景を考えて理解しておくことが重要ではないかと思います。
呼吸ができていない時
よほど強心臓の人でない限り、本番の緊張で胸がドキドキした経験があると思います。
ドキドキすると呼吸が浅くなり、少し息苦しいような感覚にならないでしょうか。
その息苦しさ、つまりうまく呼吸ができていないことが、曲が飛ぶ原因の1つだと考えられます。
呼吸ができていないということは、脳に十分な酸素がいっていないということです。
その分脳のパフォーマンスが落ちるので、普段できていることができなくなる、つまり曲が飛んでもおかしくないという理屈です。
酷い時には、演奏に集中しようしすぎて、息を止めてしまっていることすらあります。
ただでさえ酸素不足なのに、供給を完全にストップさせてしまっては、これはもう体が反応できる訳がありません・・。
これは私の想像なのですが、人間は極度に集中しようとするとき、息を止めてしまう習性があるのではないでしょうか?
人類が狩猟と採集で生きていた時代・・獲物に気付かれないように近づいたり、自分の命を狙ってくる相手から隠れるようなシチュエーションが沢山あったはずです。
そんな時、なるべく息を殺し気配を隠して、状況判断に全神経を使うのが、最も生存率を上げるムーブだと思います。
我々はそこで生き残ってきた人間の子孫なので、無意識に呼吸を浅くしがちなのではないか?
大袈裟ですが、そんな風に考えてみました。
対策としてはとにかく、普段より意識的に、深く呼吸するようにすることでしょうか。
それだけで、曲が飛ぶようなことはかなり防げると思います。
呼吸が直接関係してくる歌や管楽器では、呼吸法が確立されており普段の練習から取り入れられているはずです(全然詳しくないですが・・)。
しかし指を動かせばひとまず弾けるギターでは、この辺りはおろそかされがちだと思います。
指の動きだけでなく、体全体をうまく使うようになることが、これからのギタリストの課題なのかもしれません・・。
自分の音が聴こえにくい時
最後は、ついこの間のライブでやってしまった曲飛びです。
しっかり練習した曲でアナライズも十分していたのに、どうしても一部分のコードが思い出せなくなってしまいました。
当初は何が原因なのかが分からなかったのですが、どうもライブ前の練習の仕方に問題があったようです。
というのも、そのライブで演奏する曲を練習するのと同時並行で、レコーディング作業(宅録)も行なっていました。
ヘッドフォンでモニターし、演奏の細かいリズムやニュアンスだけでなく、ポジション移動時のノイズや、服などがギターに当たった時の雑音にまで気を配っていた状態です。
言うなれば、自分の音の解像度が高い状態で演奏していたと言えます。
一方、ライブでは自分のギターの音はヘッドフォンではなく、スピーカーから出てきます。
ギターだけでなく会場の様々な音が混ざるため、ヘッドフォンで聴くのとは感覚が大きく異なります。
さらに後から考えたら、モニタースピーカーからの返しも小さい状態でした。
そんな中にレコーディングモードの頭で挑んでしまったので、ギャップが生じて曲飛びが起こってしまったのだと分析しています。
おそらく、自宅では自分が出した音を次の弾き方のトリガーにするようなイメージで弾いてしまっていたため、自分の音が聴こえづらい状況に対応できなかったのではないでしょうか。
住宅事情から、普段の練習はヘッドフォンでモニターせざるを得ません。
しかし今回の曲飛びがあってからは、可能な限りスピーカーから音を出して練習する環境を作るように意識しています。
また、自分の音が聴こえづらくても一定のクオリティーで弾けるように、あえてスピーカーの音を絞って弾くようなこともやるようになりました。
同じような練習環境の方は、ぜひ反面教師にして頂ければと思います・・。
以上、前編と合わせて、本番で曲が飛ぶ原因を5つご紹介してきました。
今回挙げてきた原因の多くに共通するのは、普段と演奏環境が違う状態であるということです。
逆に考えると、普段からどれだけ本番に近い環境を作って練習するかが、鍵になってきそうですね。
世の中には本番に強い人もいますが、そういった人たちは今回書いてきたような対策を、無意識にこなしているのかもしれません。
しかし本番に弱い人でも、考えて1つ1つ積み重ねて行けば大丈夫なはず!
大事な本番で最高の結果を残せるように、これからも失敗を分析していけたらと思います。



