知り合いから教えてもらったり雑誌で見たりして、自分がまだ聴いたことのないギタリストに興味を持つことがあると思います。じゃあとりあえずアルバムを1枚聴いてみような・・となった時に、何を基準に選ぶでしょうか?世間では名盤と呼ばれているアルバムでも、実は最初に聴くべきではないものがある気がします・・。
誤解のないように最初に断っておきたいんですが、別に既存の名盤を辛口批評したり、落とす意図があって今回のブログを書いている訳ではありません。
そもそも何が名盤かなんて、人によって違うと思いますし・・。
ただ自分が経験した中で、この選び方はもったいなかった!ということが何回かあったので、一度整理しておきたいという気持ちがありました。
というのも、これまで沢山のギタリストの名盤を聴いてきましたが、今も好きで追い続けているギタリストはいずれも、"最初に聴いたアルバムの衝撃"が凄かったためです。
1枚目のアルバムを好きになれば、当然2枚目3枚目と続いていく他、シングル曲やゲスト参加した曲なんかも聴くようになりますよね。
逆に、最初に聴いたものがいまいちだと、どんなに有名なギタリストでも少し距離をおくことになってしまいます。
後で良さを再認識することもありますが、一度離れるとなかなかハマりづらい部分も出てきます。
一昔前は、レコードやCDなどの媒体がないと音楽が聴けませんでした。
お店に目当てのアルバムが置いていないと、そもそも聴くチャンスすらありません。
運よくあったとしても、今の1ヶ月のサブスク料金以上のお金を出して、1枚のアルバムを買わないといけません。
ただその分、よく下調べをしてから購入したり、たまたま入ったレコード屋さんの在庫に歓喜したりと、一期一会の感がありました。
しかし今では、サブスクでほぼ聴き放題の状態です。
選択肢が増えるのは良いことかもしれませんが、選択の幅がありすぎるとどうして良いか分からなくなってしまいます。
指針とまではいかなくても、少しは役立つ経験談くらいになればと、最初に聴いてはいけない名盤を、3つのタイプに整理してみました。
特殊な形態のもの
書籍やネットのレビューなどで名盤と呼ばれているアルバムを聴く時、あまりはずれを引くことはないと思います。
好みでない場合もあるかもしれませんが、それでも世間一般で有名な作品がどんなものかを知ることは、大きな糧になるのではないでしょうか。
しかし、特殊な形態のものは玄人向きであることが多く、最初に聴くのは避けた方が無難かもしれません。
真っ先に思い付くのが、ジョー・パスの「ヴァーチュオーゾ」です。
史上初めて、ギター1本でジャズを体現したと言われる名作ですね。
私はソロギターが好きだったこともあり、ジョーパスを知った時に迷わずこのアルバムを購入しました。
しかし、いざ聴いてみると、頭の中にハテナマークが浮かびます。
どこが曲のテーマでどこがアドリブなのか良く分かりませんし、ドラムがいないためリズムも見失いがちになります。
しかも何かジャズギターっぽくない音ですし(一部の曲以外はフルアコの生音を集音しているらしいです)。
自分だけがこの作品の良さが分からないのかと、不安にさえなりました・・。
しかし、ある程度ジャズを聴いてきた今だと、印象は全く変わってきます。
音数が多くない中にも歌心やスイング感を感じますし、とんでもない演奏技術だということも分かります。
これはおそらく、演奏の形式やスタンダード曲などの知見が頭にあり、それが情報を補間してくれたり、より深い部分を感じられるようにしてくれているのだと思います。
一般的にイメージするジャズがバンド形式で演奏されることを考えると、ギター1本というのはかなり特殊な形態です。
ジャズギター的にはエポックメイキングな名盤かもしれませんが、私のようなほぼ初学のリスナーには、かなり敷居が高かったようです。
普通にバンドの中で演奏しているジョー・パスを最初に聴いていれば、もっと違っていたかもしれないなと思ってしまいます。
奇をてらった選択
"ギタリスト名盤100"みたいな書籍は、歴史的に有名な名盤が挙げられているだけでなく、その作品の背景の解説なども載っているので、非常に参考になります。
しかし、中にはありきたりな名盤を紹介することを避けて、奇をてらった内容の記事に当たることもあるので注意です。
私にとっては、ラリー・カールトンの「ディスカヴァリー」がそれでした。
GibsonのES-335で有名なラリー・カールトンですが、このアルバムはなんとアコースティックギターのみプレイ!
書籍でラリー・カールトンのもっともお勧めのアルバムとして紹介されていたのと、たまたま近くの店に置いていたのもあって、最初の1枚として選びました。
聴いてみると、もちろん間違いない音楽なんですが・・ここからラリー・カールトンをどんどん深掘りしていこう!とはなりません。
このアルバムを選んだライターは、本心から勧めたいと思って記事を書いたのかもしれません。
しかし、私にとっては何となくスカされた形になり、ラリー・カールトンの良さが分からないまま月日を過ごすことになってしまいました。
別にES-335でなくても良いので、普通にエレキギターを弾いているアルバムを紹介してくれてたら・・と思ってしまいます。
ギタリストのデュエット版
たまに見かける、複数の有名ギタリストが共演している形のアルバムも気を付けないといけません。
何故かというと、初めて聴くギタリストがいる場合、どこを誰が弾いているかが音だけでは中々分かりづらいためです。
作品によっては明確に左右で定位を分けてくれていたり、どれが誰のプレイかがライナーノーツに書いてくれてたりするのですが、多くは自分で聴いて判断するしかありません。
また、注目しているギタリストのプレイが、(デュオの場合)単純に半分になるのもデメリットです。
具体的に挙げると、その名もずばり「ジョン・スコフィールド&パット・メセニー」です。
この2人なんて超絶個性的なのに、やはり初めて聴いた時はどちらが何をやっているのか、よく分かりませんでした。
もしかすると、お互いにプレイの雰囲気を寄せているような所もあるのかもしれませんが・・。
どちらか、またはそれぞれの作品を聞いてからトライした方が、何倍も楽しめると感じたアルバムです。
以上、「最初に聴いてはいけない名盤」の3つタイプでした。
こんなことを言うと元も子もありませんが、音楽なんて好きに聴けば良いですよね。
しかし今の情報過多な時代、取捨選択の基準を自分の中に持っていないと、本当に好きに聴くことさえできなくなるのではないかとも思ってしまいます。
ただのいちギタリストの経験談でしたが、何かの参考になれば幸いです。



