先日、ピアノを長く続けられてきた方に、ギターのレッスンをしました。他の楽器のスペシャリストに対して何から説明すべきか迷いましたが、まずはピアノにはないギターの特徴についてお話しすることにしました。それらを意識することで、ピアノとギターの美味しいとこどりが、できるのではないかと思います。
1.オクターブ下の音が出る
今回挙げるギターの特徴は、全部で6つです。
まずは、意外と知られていないギターの音域についてです。
ギターの演奏を五線譜に書く場合、ト音記号が用いられることがほとんどです。
しかし、実際には譜面よりも1オクターブ下の音が出ています。
逆に言うと、1オクターブ上で採譜するということですね。
次の図をご覧下さい。
ギターのレギュラーチューニングの開放弦の音を、6弦から順に示しました。
丸で囲まれた数字は弾く弦を表しており、⑥なら6弦の開放弦ということになります。
6弦開放の最低音から1弦まで、ト音記号の五線譜の中にうまく収まっていることが分かります。
譜面が見やすくなるので、1オクターブ上で採譜するという訳ですね。
親切な譜面あれば、1オクターブ下の音であることを明示してくれていることがあります。
今回の図で、ト音記号の下に8と書いてあるような感じです。
幅広い音程を扱うピアニストの方は、何も書かれてなくてもすぐに気付かれるかもしれませんが、知識として持っておくことで、無用な混乱は避けられるかと思います。
五線譜の音程と実際の音程が違うということは、ギターもサックスなどと同じ移調楽器ということになります。
譜面通りの音程にしたいのであれば、1オクターブ上で弾けばOKですね。
覚えたフレーズをオクターブを変えて弾くという練習がありますが、ギターの採譜上の特性からも、効果的な方法だと言えそうです。
2.展開形の和音が多い
次は少し細かい話なので、興味のない方は何となく読んで頂けたら大丈夫です。
例えばC9コードを弾く場合、ピアノだとドミソシ♭レのようにルート、3rd、5th・・と順番に音を重ねることができます。
一方ギターだと弦の本数や運指上の制約から、ドミシ♭レソのような展開形になることが多くなります。
図はGメジャーキーの主要和音のローコードを、五線譜に書いたものです。
右端のC以外は、音が3度ごとに重ならず歯抜けになっているのが分かります。
また赤い矢印で示したのが、メジャーかマイナーかを決定するコードの3度の音です。
コードごとに3度の音が含まれる位置が違います。
特にDにご注目頂くと、トップが3度の音という形になっており、これが独特の響きを生むことになります。
何が言いたいのかというと、ギターは伴奏楽器でもありますが、完全なコードを弾くことが難しいということです。
ただ完全なコードが必ずしも正解という訳ではなく、展開形にしたり音を省略した方が効果的な場合も多いです。
ギターではそういった独特のヴォイシングを追及した方が、実践的だということですね。
(後でピアニストの方に聞いたら、ピアノの伴奏でも結構音を省略したりするようですが・・)
3.見易さ重視の楽譜
次は指弾き(フィンガーピッキング)をやる時の楽譜についてです。
図はシンプルなアルペジオですが、1つの五線譜に2つのパートが存在するような書き方になっています。
音符の棒(符幹というらしいです)が下を向いているものと、上を向いているものの2つですね。
これは下向きの音符は親指で、上向きの音符は親指以外で弾くことを表しています。
いちいちピッキングする指を書かなくても良く、楽譜がすっきりするので近年のフィンガーピッキングの曲では多く採用されている方法です。
ただしクラシックギターの世界では、弾く指をp(親指)、i(人差し指)、m(中指)、a(薬指)のように表すことが多いのでご注意下さい。
また図の譜面では、親指以外で弾く部分を便宜上8分音符で書いています。
しかし実際にはアルペジオなので、各音を伸ばして弾くことになります。
それなら楽譜の通りに音を切る場合はどうするねん?と言われそうですが・・紛らわしい場合はどのように弾くかが明記されていることもあります(例えばアルペジオであればArp.のように書いておく)。
何にせよ、細かいニュアンスは原曲を聴いて確認するのが大切だと思います。
ここまでギターの特徴を3つご紹介してきました。
後3つあるのですが、少し長くなってきたので次回のブログで続きを書きたいと思います。
ピアニストだけでなく、ギタリストにとっても改めて自分の楽器を見つめ直す内容になっているので、ぜひご覧下さい!



